池脇千鶴 そこのみにて光輝く 閉塞感漂う北の町で無為で無気力な日々を送っていた主人公の運命が、社会の底辺で行き場を失った一組の姉弟との邂逅によって少しずつ動き出していく姿を切なくも優しい筆致で描き出したラブロマンス。
芥川賞候補に幾度も名を連ねながら受賞がかなわず、41歳で自ら命を絶った不遇の作家・佐藤泰志の唯一の長編小説を、綾野剛の主演で映画化。「オカンの嫁入り」の呉美保監督がメガホンをとり、愛を捨てた男と愛を諦めた女の出会いを描く。仕事を辞めブラブラと過ごしていた佐藤達夫は、粗暴だが人懐こい青年・大城拓児とパチンコ屋で知り合う。ついて来るよう案内された先には、取り残されたように存在する一軒のバラックで、寝たきりの父、その世話に追われる母、水商売で一家を支える千夏がいた。世間からさげすまれたその場所で、ひとり光輝く千夏に達夫はひかれていく。しかしそんな時、事件が起こり……。
ある出来事をきっかけに仕事を辞め、あてもなくただふらふらとしていた達夫(綾野剛)は、パチンコ屋で拓児という青年(菅田将暉)に使い捨てライターをあげたことをきっかけに知り合う。荒っぽいところがあるが人懐っこい拓児は、達夫を家に呼ぶ。拓児の家は、サムライ部落の中でも取り残されたようなかろうじて建っているバラックだった。そこには寝たきりの父親と、父親の世話をする母親、そして姉の千夏(池脇千鶴)がいた。達夫と千夏はそれぞれの身の上を話すうちに、惹かれあっていく。一家を支えるために辛い仕事もする千夏に、不器用ながら一途に愛を注ぐ達夫。そんな中、ある事件が起こる……。
「そこのみにて光輝く」の解説
2014年第88回キネマ旬報ベストテン日本映画第1位作品。『海炭市叙景』映画化で再び注目を集めた不遇の作家・佐藤泰志唯一の長編小説を映画化。佐藤泰志の出身地でもある函館を舞台に、過酷な現実の中で、そっと寄り添う男と女を描く。監督は「酒井家のしあわせ」「オカンの嫁入り」などで高い評価を得た呉美保。ある出来事をきっかけに生きる目的を見失ってしまった男を「シャニダールの花」「その夜の侍」の綾野剛が、家族を支えるために身を売るヒロインを「凶悪」「ジョゼと虎と魚たち」の池脇千鶴が、ヒロインの弟を「共喰い」「王様とボク」の菅田将暉が演じた。撮影は「海炭市叙景」「桐島、部活やめるってよ」の近藤龍人。
41歳で自ら命を絶った作家、佐藤泰志の原作小説を「オカンの嫁入り」の呉美保が映画化。短い函館の夏を舞台に、生きる目的を失った男と愛を諦めた女の邂逅から、底辺で生きる家族を描く。目的もなく日々を過ごす達夫はある日、千夏に出会う。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 2014年4月19日
監督:呉美保
原作:佐藤泰志
出演:綾野剛 池脇千鶴 菅田将暉 高橋和也 火野正平 伊佐山ひろ子 田村泰二郎